虫歯治療のあとに歯がしみる・痛いのはなぜ?いつまで様子を見ていい?
先生、虫歯治療をしたあとに『治療前は痛くなかったのに、治療してからしみるようになった』という相談がありますよね
ありますね。患者さんからすると、『治療したのにどうして痛くなるの?』『治療が失敗だったの?』と不安になりますよね
実際、虫歯治療のあとにしみたり痛んだりすることはあるんですか?
あります。虫歯を削ったあとに一時的にしみることは珍しくありません。ただし、原因によっては経過観察でよい場合と、再度確認した方がよい場合があります
なぜ虫歯治療のあとにしみるの?
まず、どうして治療後にしみるんですか?
歯の一番外側にはエナメル質があり、その内側に象牙質、そのさらに内側に歯髄、いわゆる神経があります
虫歯を削ると神経に近づくことがあるんですね
そうです。虫歯が深いほど、治療による刺激が神経に伝わりやすくなります。そのため、治療後しばらくは冷たいものなどがしみることがあります
治療したから悪くなったということではないんですね
必ずしもそうではありません。虫歯そのものが神経の近くまで進んでいたことが原因の場合もあります
治療前は痛くなかったのに、なぜ治療後に痛くなるの?
でも、『治療前は全然痛くなかったのに』という方も多いですよね
そうですね。ここはとても大切です。虫歯の大きさと痛みの強さは必ずしも一致しません
大きな虫歯でも痛くないことがある?
あります。かなり神経の近くまで虫歯が進んでいても、ほとんど症状がないことがあります
治療して虫歯を取った刺激で、神経が反応することもあるんですね
そうです。もともと神経の近くまで進行していた虫歯では、治療後に一時的な炎症が起こることがあります
冷たいものがしみるだけなら大丈夫?
例えば、冷たい水を飲んだ時だけ少ししみる場合はどうですか?
刺激がなくなるとすぐに痛みが消える程度であれば、経過をみられることがあります
神経が落ち着いてくることもあるんですね
はい。治療後、数日から数週間かけて徐々に症状が弱くなるケースがあります
どんどん良くなっているなら、少し様子を見ることもある
そうですね。ただし、症状が強くなっている場合は別です
熱いものがしみる、ズキズキする場合は?
逆に、どういう痛みは注意が必要ですか?
例えば、何もしていないのにズキズキ痛む、夜眠れないほど痛む、熱いものが強くしみる、刺激がなくなったあとも痛みが長く続く、といった場合です
神経に強い炎症が起きている可能性がある?
はい。歯髄炎が強くなっている可能性があります
その場合は神経を取る治療が必要ですか?
症状や神経の状態によりますが、回復が難しいと判断した場合は根管治療が必要になることがあります
「神経ギリギリ」と言われた歯は痛みが出やすい?
以前の記事で『神経ギリギリですね』という話をしましたが、そういう歯は治療後に痛みが出やすいんですか?
そうですね。虫歯が神経に近いほど、治療後にしみたり痛みが出たりする可能性は高くなります
神経を残した場合でも?
もちろんです。できるだけ神経を残す治療をしても、その後に神経が回復するかどうかは経過を見ないと分からないケースがあります
だから『神経を残しました=絶対大丈夫』ではないんですね
その通りです。神経を残すメリットは大きいですが、後から痛みが出て根管治療が必要になる可能性についても、事前に説明することが大切です
噛むと痛い場合は、虫歯ではなく噛み合わせ?
しみるのではなく、『治療した歯で噛むと痛い』という場合はどうでしょう?
その場合は、神経だけでなく噛み合わせも確認します
詰め物が高いということですか?
そうですね。新しく入れた詰め物や被せ物が少し高いと、その歯だけが先に当たり、噛むたびに強い力がかかることがあります
それで歯が痛くなる?
はい。歯の周りにある歯根膜に負担がかかると、噛んだ時の痛みや歯が浮いた感じが出ることがあります
高さを調整すると良くなることもあるんですね
あります
詰め物の種類でもしみやすさは変わる?
詰め物の材料によっても違いますか?
材料だけで単純には決められませんが、治療する歯の深さや削った範囲、接着状態などによって治療後の症状は変わります
材料だけが原因とは限らない
そうですね。『セラミックだからしみる』『保険の詰め物だからしみる』と単純に考えるのではなく、虫歯の深さや神経の状態を確認することが大切です
麻酔が切れたあとに痛いのは普通?
治療した日の夜、麻酔が切れてから少し痛くなる場合は?
治療内容によっては一時的な痛みが出ることがあります
どれくらいなら様子を見ていいですか?
一律に『何日なら大丈夫』とは言えません。ただ、日を追うごとに症状が軽くなっているかどうかは大切な目安になります
逆に、どんどん強くなるなら?
再度確認した方がいいですね
いつまで様子を見ていい?
患者さんが一番知りたいのはここだと思います。何日くらい様子を見ればいいですか?
軽い知覚過敏のような症状で、少しずつ改善しているのであれば経過を見ることがあります
では、早めに受診した方がいいのは?
例えば、
・何もしなくてもズキズキ痛む
・夜眠れないほど痛い
・痛みが日に日に強くなっている
・熱いものが強くしみる
・噛めないほど痛い
・歯ぐきが腫れてきた
こういった場合は、早めに歯科医院へ相談した方がよいですね
「治療後に痛い=治療が失敗」ではない?
患者さんとしては、『治療したあとに痛いなら失敗だったのかな』と思ってしまいますよね。
そう感じるのも自然だと思います。ただ、治療後に症状が出たからといって、必ずしも治療が失敗だったとは限りません
もともとの虫歯が深かった可能性もある
そうです。特に神経の近くまで進行した虫歯では、最善を尽くして神経を残したとしても、その後に歯髄炎が強くなって根管治療が必要になることがあります
結果だけでは判断できないんですね
はい。だからこそ、治療前の虫歯の深さや、治療後に起こり得ることを事前に説明しておくことが大切だと思います
そう歯科学芸大学ではどうする?
そう歯科学芸大学では、深い虫歯を治療するときにどんなことを大切にしていますか?
まず、必要のないところまで歯を削らないことです
でも、虫歯はきちんと取り除く
そうですね。単純に『削る量が少なければ良い治療』というわけではありません。虫歯の状態と神経までの距離を考えながら、その歯をできるだけ長く残せる方法を選びます
神経を残せそうなら残す?
はい。ただし、無理に残すことが必ずしも良いわけではありません。症状や神経の状態によっては、根管治療を行った方が歯を長く残せる場合もあります
治療後にしみた場合は?
冷たいものがどのくらいしみるのか、痛みが何秒くらい続くのか、噛んだ時だけなのか、何もしなくても痛いのかなどを確認します
症状の出方が重要なんですね
そうです。必要に応じて噛み合わせや神経の反応も確認し、経過観察でよいのか、追加の処置が必要なのかを判断します
そう歯科学芸大学の理念にもつながりますね
はい。**『一人ひとりに確かな情報を、よりよい選択肢を』**という理念のもと、治療したあとに起こる可能性についても含め、できるだけ分かりやすくご説明することを大切にしています
よくある質問
Q. 虫歯治療後に冷たいものがしみます。大丈夫ですか?
軽い症状で徐々に改善している場合は、経過をみられることがあります。ただし、痛みが強くなる場合や長く続く場合は確認が必要です
Q. 治療前は痛くなかったのに、治療後に痛くなることはありますか?
あります。虫歯が神経の近くまで進行していた場合などは、治療の刺激によって一時的に神経が敏感になることがあります
Q. 治療した歯を噛むと痛いです。
噛み合わせが高くなっている場合や、神経・歯根膜に炎症がある場合などが考えられます。痛みが続く場合は歯科医院で確認しましょう
Q. どんな痛みならすぐ受診した方がいいですか?
何もしなくてもズキズキする、夜眠れない、熱いものが強くしみる、日に日に痛みが増す、腫れてきた、といった場合は早めの受診をおすすめします
Q. 神経を残した歯でも、あとから根管治療になることがありますか?
あります。深い虫歯では、治療時に神経を残せても、その後に炎症が強くなり、根管治療が必要になるケースがあります
まとめ
では最後にお願いします
虫歯治療のあとに歯がしみたり痛んだりすると、
『治療前は痛くなかったのに、なぜ?』
『治療が失敗だったの?』
と不安になると思います
しかし、治療後の痛みには、神経に近い虫歯、一時的な神経の反応、噛み合わせ、知覚過敏など、さまざまな原因があります
軽い症状で少しずつ改善している場合は経過をみられることがありますが、何もしなくてもズキズキする、夜眠れない、日に日に痛みが強くなるといった場合には、神経の炎症が強くなっている可能性があります
そう歯科学芸大学では、治療後に症状が出た場合も、『痛いからすぐ神経を取る』のではなく、症状の出方や神経の状態、噛み合わせなどを確認し、必要な治療を判断することを大切にしています
治療した歯がしみる、噛むと痛い、いつまで様子を見ればよいか分からないという方は、お気軽にご相談ください